なぜこの学生は大学に来たんだろう...①
大学生は勉強しない。
この認識が完全に常識となりつつある。
例えば、私の知っている学生にはこんな人がいる。
5回生、3年生。大学の授業を難しいと思ったことはないため勉強はしないが、
なぜか毎年、必修の単位が出ない。
彼は、工学部でも最難関の学科に合格しており、学科名だけを聞くと勝ち組と認識される。高校生のころは、さして勉強したわけでもなかったらしい。
大学の授業を難しいと思ったこともなければ、本大学の学生はたいていつまらないやつばかりだと言う。
そういう彼だったが、実は学生支援の団体で活動していた。
団体では幽霊部員の扱いに近かったのだが、たまにミーティングに出てはいつも参加していますというような顔で意見を言っていた姿が印象的で、メンバーからは呆れ半分あきらめ半分で見られていた。
その後、学生支援の団体はなくなり、今では学外の活動に顔を出している彼。
いつも鋭い意見を言ってくれるのだが、周りの反応は学生支援の団体にいた頃と変わっていなかった。
そして、鋭い意見を言えるのは、責任を負わないからだと、私は結論を出した。
彼のことをみんな、遠巻きに呆れ半分で見ている。彼の将来を本気で考えてくれていた人たちもあきらめて去って行った。
彼が自分と向き合って必修の単位を取ってくれるまで、どれだけの時間を費やすのだろう。